MVNO各社の通信速度低下の原因は回線数の大幅な増加、今後はNTTドコモの接続料改定の影響も受けるかも

MMD研究所の「2015年4月格安スマホ通信速度調査」で、MVNOの通信速度が低下していることが分かった。原因として、MVNOの回線数の大幅な増加が考えられる。今後は、NTTドコモの接続料の低減率低下の影響も受けるかもしれない。

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MMD研究所は4月23日、「2015年4月格安スマホ通信速度調査」の結果を公開した。

前回2015年1月の調査と比べて、MVNOの通信速度が低下していることが確認できる。

MMD研究所の格安スマホ通信速度調査比較
サービス 下り平均速度(Mbps)
2015年4月 2015年1月
OCN モバイル ONE 4.4 19.1
IIJmio 7.1 24.2
b-mobile 7.0 9.1
BIGLOBE LTE・3G 4.1 6.7
ドコモ 19.3 31.3

2015年4月は「東京・恵比寿のMMD研究所」、2015年1月は「JR山手線内回り全29駅のホーム中央付近」と、条件が異なるものの、明らかに通信速度が低下している。

速度低下の原因はユーザー数の急増加

通信速度が低下している原因として、ユーザー数の急激な増加が考えられる。ユーザーの増加に対して設備投資が追いついていないのだ。

IIJmioを展開しているIIJが発表した2015年3月期第三四半期決算の資料を読めば、MVNOの回線数が急激に増加していることがわかる。

IIJmio回線数
14年4Q:43.0万(QoQ+9.1万)2015年5月18日加筆
14年3Q:33.9万(QoQ+9.4万)
14年2Q:24.5万(QoQ+4.0万)

2015年3月期通期決算説明会資料

これを見ると、QoQの回線の純増数が2倍以上になっている。仮に4Qの純増数が3Qの2倍になった場合の回線数は2Qの24.5万の2倍強の52.7万になる。

(2015年5月18日加筆)
2014年度通期では、16万9千回線から43万回線まで拡大した。IIJは、2015年12月末までに100万回線強の目標を掲げている。

「OCN モバイル ONE」を展開しているNTTコミュニケーションズは、2014年度通期で30万3千の純増を記録してMVNOの契約数が前年度の23万5千から53万8千回線まで拡大した。2015年度は、25万6千増の79万4千回線の目標を掲げている。
2015年3月期通期決算説明会資料
(加筆終了)

さらに、2015年2月にNTT東日本・西日本がフレッツ光の卸売りサービス「光コラボレーションモデル」を開始したのにあわせて、MVNO各社が格安SIMとのセット契約で料金を割り引くサービスを始めているので、回線数がさらに増加する可能性もある。

MVNO各社は、ユーザー数の増加に伴う通信速度の低下を防ぐため設備の増強によって帯域を拡大しているが、増強が追い付いていない可能性が高い。IIJmioの公式ツイッターは、設備増強が追いついていない現状をツイートしている。

IIJでは、順次設備の増強を行っているようなので、5月下旬から6月上旬以降にはある程度の改善が見られるかもしれない。

2015年は実店舗が急拡大

2014年まではオンラインでの契約が中心だった格安SIM。2015年は、実店舗が今後急激に増加する。

ヨドバシカメラは、複数のMVNOのSIMカードの提案から契約、設定、アフターサービスまでをワンストップで提供するSIMフリーカウンターを開設する。5月中旬のマルチメディアAkibaを皮切りに年内に10店舗程度まで拡大する。

NTTコミュニケーションズは、ゲオと組んで独自のモバイル通信サービス「ゲオ×OCN SIM」を全国のゲオ1,047店舗で展開。トーンモバイル(旧フリービット)は、全国のTSUTAYA12店舗、直営店舗4店舗の計16店舗で「TONE」を発売、順次全国のTSUTAYAで販売を開始する。U-mobileもMNPの即日転入に対応した「MNPセンター」を順次拡大していくと発表している。

このように、実店舗の拡大によっていMVNOの回線数はさらに増加する可能性がある。

NTTドコモの接続料問題の影響が出る可能性

今後は、NTTドコモの接続料が予想よりも下がらなかった影響が出る可能性がある。ドコモ系のMVNOがNTTドコモに支払っている接続料(レイヤー2接続)は、2013年度が2012年度比で56.6%減少したが、2014年度は2013年比で23.5%しか下がらなかった。

MVNO各社は、前年度並みの接続料の低減を予想して、値下げ競争を繰り広げてきた。低減率が想定より小さかったため、IIJは通期業績予想の下方修正を余儀なくされている。

接続料が予想よりも下がらなかったことで、先行して料金を値下げしてきたMVNOの中には帯域幅を広げる設備投資に回す資金を確保できなくなる可能性もある。設備投資が行われないなかでユーザー数が増えると、通信速度のさらなる低下を招くことになる。

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